重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「嘘! あんなに、可愛いのに?」

 色取り取りに鮮やかな彫り物のような物は実はお菓子で食べられるとデュークが言っても、にわかには信じ難い。

 けど、出来れば食べてみたい。

 美味しくはないと言われても、好奇心が勝る。城では一流の料理人が作った料理を常に食べられるけど、これまでに食べたことのない庶民の食べ物にだってとても関心があるのだ。

「……それより、これって、完全に仕事で。遊びの旅行でもないけど?」

 デュークは完全に物見遊山な気分になってしまっている私を見て、呆れているようだ。

「けど、デュークと居られたら、私は楽しいわ」

「……それって、王族の特権濫用で、アリエルの嫌いな特権行為なんではない?」

 デュークが言わんとしていることは、理解出来る。けど、たまには良いのではないかと思ってしまうのだ。

 私だって王族として我慢していることがは、たくさんあるんだから。

「あら。それを知った国民から苦情が出るようなら、粛々と反省して改めるわ」

 もし、この旅の全ての費用を自分に与えられた予算から捻出した、婚約者となる人の仕事に付いて行きたいと押し切った私が悪いと言うのであれば、いくらでも謝罪する。

「良く言う。前にも言った理由でアリエルの国民人気は何もしなくてもマジで高いから。ちょっとしたわがままだったら、国民は何にも言わないよ」

 デュークは私について私より良く知っているようなので、それ以降は私がどんなにはしゃいでも何も言わなかった。

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