重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 デュークが獣人であることは、ひと目見れば誰だってわかる。

 彼の頭には獣耳が付いているし、背中に続く腰の位置でふさふさの黒い細長い尻尾も生えている。

 フードを被ったとしてもすぐにバレるし無駄な抵抗だと言って、デュークは耳を隠そうともしなかった。

 ただ、デュークは、この場所に居るだけだと言うのに……この良くわからない冷たい態度は、何なの。彼に家族でも殺されたと言うの。

 私は思わず、周囲の人たちの向ける視線に眉を寄せた。

 こちらをジロジロと不躾に見て、不快感のある視線を送って来る輩に一言言おうかと息を吸い込んだら、さっと伸びて来たデュークの大きな手に口元を押さえられた。

「ふはっ……あにしゅるの」

 口を押さえられたままで、デュークを不満げに見上げれば彼は肩を竦めた。

「ごめん。これを先に言えば良かった。俺は別に気にしていない。なんとも思わない。こんなのどうでも良いし時間の無駄だから、早く行こう」

 デュークは遠くに見えるダムギュア王城を指差して、さあ目的地行こうと言わんばかりに面白くない顔をした私の背中を押した。

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