重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

28 香炉

 遠距離を呼び出されることになったデュークご指名の仕事については、なんだか拍子抜けしてしまうくらいに簡単に済んでしまった。

 合同演習のための打ち合わせ、ダムギュア王国軍の演習の見学。ユンカナン王国との演習場所は既に決定しているらしく、多くの人員をどのように移動するかをデュークに相談したりもしていた。

 そして、デュークは怠惰な性格の癖に豊富な地理的知識を持っていて、聞かれたことについて根拠を示し自分の意見まで交えて提案までしていたから、仕事が出来る男であることも証明してしまった。

 しかも、ここ三日間スケジュールをこなしている間ずっと、獣人を嫌っているはずなのに、賓客扱いされて、彼の隣に居るだけの私の方が戸惑ってしまうくらいだった。

「アリエル。俺は将軍に挨拶をしてくるよ。この部屋から動かないでくれ」

 いよいよ私たちは明日ユンカナン王国へ帰るという段になって、早々に荷造りを済ませたデュークは今日のうちに将軍への挨拶を済ませておくらしい。

< 183 / 216 >

この作品をシェア

pagetop