重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 身体が大きくいかにも軍人といった様子のダムギュア王国軍将軍は、私も一度ご挨拶させて頂いたけど、淡々と仕事の話だけに終始していて、愛想は良くなかったけど、獣人のデュークに対する嫌悪感を態度に出すこともなかった。

 私もデュークの婚約者という名目で用意して貰った部屋の中で、自分の荷物を纏めていた。

 すると、扉が叩かれたので、使用人の格好に変装していた室内に居た護衛がどうするかと目配せを送ってきた。

 とは言え、ここは異国で私たちは間借りさせていただいている立場だ。ここで出ない訳にもいかないだろうと、私は頷いた。

「っ……あの」

「しーっ……! 大丈夫です。アリエル様。私は貴女がアリエル様であることを知っています」

 私は驚いて思わず言葉を失ってしまったんだけど、そこに居たのは以前お会いしたことのあるダムギュア王国王太子ルイ様。

 私のお兄様とは違った王子様とした彼だ。けれど、今回は私はルイ様と会うつもりもなかったし、公式の訪問でもない私に本来であれば彼が気がつくはずもなかった。

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