重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 ……私はルイ様とお茶をしていて、もしかして誘拐された? ユンカナンの王族を? もしそうすれば、戦争が起こるかも知れないというのに?

 いいえ。もし、ダムギュア王国はそもそも友好関係など、望んでいなかったとしたら? 油断させるためだけに、私を誘拐しようとしたら?

 お忍びであれば護衛は少数。デュークはいくら強いとは言え、私を人質にすれば彼が抵抗することは難しいだろう。

 という訳ね。私を手にしてしまえば。お父様とお兄様たちは攻撃を躊躇うと? 以前に一人で敵軍を壊滅させた騎士団長も殺せてしまうと?

 ああ……なんて、私は馬鹿な王族なの。ご先祖様ごめんなさい。

 起きたばかりの私の推理した内容を裏付けるようにして、苦々しい表情を浮かべたデュークは剣を剣帯ごと床に落としているし、何人かの兵士たちに囲まれていた。

「わかったっすよ。俺は抵抗しませんので、姫の安全を保証してください」

「さっさと跪け。お前はもう何も出来ないんだよ」

 そういえば、起きた時から思って居たんだけど、この部屋はなんだか変な匂いがしていた。

< 187 / 216 >

この作品をシェア

pagetop