重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「私よ。もう敵は居なくなったわ……大丈夫。落ち着いて……」

 デュークは私の元へと辿り付く、こてんと頭を寄せて目を閉じていた。

 彼は誘拐した一味を倒してしまうまで、本能のみで動いていたようだ。死の危険が、今は去ったと思ったのかもしれない。

 そして、私はどうしようかと思った。私の護衛騎士たちは、今は何をしているのかしら。もし、ルイ様は主犯だとすれば……彼らは今は殺されていてもおかしくはない。

 王族が王族に手を出すなどと、宣戦布告に近しい。

「なるほど。あれで、殺されたんですね。我がダムギュアの数多くの兵士たちも」

 私はその声が聞こえた方向を見た。そこに居たのは、ダムギュア王太子ルイ・ヴェルメリオ。やはり、私を誘拐しデュークをここに呼びだしたのは、彼だったようだ。

「……どうして。こんなことを?」

 彼だってそうなるとわかっていてやったことだろうけれど、二国間で協議を重ねて時間をかけて築かれた友好関係は、もうこれで終わりだ。

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