重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 結局のところ戦争というのは、戦闘員は使って両国の王族が戦っているのだ。ダムギュア王国が戦闘員を使って攻め込むのならば、我が国だって応戦せざるをえない。

「僕だって……僕だって、戦争は止めたさ! ユンカナンには獣人という化け物が居るんだから、手を出さない方が良いんだと! 父は何を言っても、聞かなかったんだ!」

 声を荒げて叫び出したルイ様を見て、私は今ある状況を冷静に考えていた。デュークさえ目覚めてくれれば、私がさっき香炉を投げ捨てた窓から飛び降りて貰えるはず。

「化け物ではないわ。失礼なことを言わないで。私にとっては、大事な自国民よ。けれど、別にその意識を正すつもりもないわ。だって、ダムギュアで起こることは、私の責任の範疇にはないもの」

「獣にその身を変えることが出来るなどと……結局のところ、獣の姿が本性なのだ。気味の悪い化け物だ」

 眉を顰めてそう言われても、彼とは違う教育を受けてきた私には、全くわかってあげられない気持ちだわ。

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