重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 あの興奮状態で我を忘れていたデュークに変貌してしまった理由が、私にはわからない。あのお香のせいであるならば、すっかり空気が入れ替わった今では効果はなくなってしまっているはず。

 けれど、別の理由であれば、すぐに意識を取り戻すことは難しいかもしれない。

 何かで話を引き延ばして、時間稼ぎが必要なのかしら。

「……私はこの国に残るから、私の護衛騎士たちとデュークを解放してちょうだい」

「なんだと?」

 ルイ様は私が何を言い出したのか、すぐに理解は出来なかったようだ。

「あら。以前にお会いした時に、私に結婚を申し込みに来たことを忘れたのかしら? つまり、婚約者候補として私の希望でダムギュア王国へ留まってあげるから、彼らを解放しろと言っているの」

 もちろん。ルイ様と結婚する気なんて、毛頭ないけれど、今この場をどうにかしようと思ったら、それしかない。

 私の身には利用価値がある。けれど、彼らはすぐに殺されてしまうかもしれない。

「アリエル姫の護衛騎士は確かに、全員捕らえている。近くの部屋に居る」

「……そう」

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