重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「……では、私はここで死ぬわ。人が大勢死ぬ戦争の発端になるのは嫌だけど……それも、仕方ないわね」

 私が居ないとなれば、ユンカナン王国は何も遠慮することなく、ダムギュア王国を焼け野原にしてしまうだろう。

「そんなにも俺の事が好きな人を残して、寝ていられませんね」

 意識を失っていたと思っていたのに、むくりと起き上がったデュークに、私は驚き過ぎて悲鳴をあげてしまった。

「起きてたの!? 寝たふりするなんて、ばかばかばかばか」

 私はあまりの驚きに、咄嗟に子どもっぽい事しか言えなかった。

「ははは。すみません。姫が思っているよりも、割と賢いっすよ」

 軽口を叩いていたデュークは彼が起き上がり形勢が悪いとみたのか、さっさと逃げ去っていくルイ様一行を追い掛けて、簡単に昏倒させてしまっていた。

 そして、捕らえられていた私の護衛騎士たちを解放して、彼らと協力して、縄で縛っていた。

 ああ……なんだかわからないけれど……助かった……? よね。

 私は部屋の中に居たんだけど、部屋の中にある死体が怖くて外で作業していたデュークに近付いた。

「デューク」

< 196 / 216 >

この作品をシェア

pagetop