重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 先んじて入室した私が元気良く朝の挨拶をした後に、すぐ後ろを付いて来ていた双子の侍女エボリーとアイボリーの二人も、声を合わせて執務室の中に居た二人の男性へと挨拶をした。

「うす……あの、姫。毎度毎度、同じことを言い難いんすけど……」

 たとえ、おはよ「う」ございま「す」と有り得ないくらいに省略されていたとしても、彼とこうして挨拶を出来れば、どうしても嬉しくなってしまう。顔がほころんでしまうのを抑えられない。

 私が大好きなこちらのデューク・ナッシュは、若くしてユンカナン王国の主力である獣人を主体で編成された獣騎士団の騎士団長。

 彼は先の戦争でのめざましい功績にを成し遂げ、歴代最年少という年齢で団長に任ぜられるという偉業を成し遂げている。

 デュークは獣の中でも最強の獣とされている獅子の獣人でも、特に珍しい黒の毛並みを持つ黒獅子。

 そして、彼が人型にある今。

 少し癖のある艶めく黒髪はサラリと揺れて、何度も何度も目にしていても、未だに信じられないほどに整っている仏頂面を縁取っていた。

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