重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 飛び散る血を見て、怒りで頭が真っ赤になる瞬間も、意識を手放そうと『俺が思わなければ』自分を操作出来るのだ。

 俺たちはユンカナン王国から派遣されて来た一隊に護衛されて帰国されることになった。アリエルのお忍びは知れ渡り仰々しいご一行になってしまったので、やって来る時よりも何倍も時間がかかってしまうだろう。

 俺も助かったと思った瞬間に、彼らが迎えに来てくれるなんて、全く思わなかった。

 それは何故かというと王太子ラインハルト殿下が大事な妹を異国へ旅させるというのに、何の策もなく行かせる訳がなかった。

 護衛からの定期連絡がなくなった段階で、独断でこの一隊を派遣しアリエル捜索させていたのだ。

 妹とその護衛たちをそうと知って拘束したダムギュア王太子は事を収めるためにどれだけ不利な条件をのまされるのかは知らないが、そこからは軍所属の俺にはあまり関係ないことだ。

 上手くやってくれるだろう。

 アリエルはそれを知って長兄が自分に対し非常に過保護だと言って居たが、彼女の身分や価値を考えればそれは仕方ないことなのかもしれない。

「……姫が居たら、俺はきっと最強っすね」

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