重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 俺はもうあの黒い感情に飲まれない。感情に支配されない。自分の命よりも守りたいものが出来たからだ。

 今まではそれがなかった。

「何言っているの? デュークは最強よ。皆そう言うわ」

 アリエルは不思議そうな顔をして言った。彼女の知っている世界では、それは正しいことなのかもしれないが、真の強者はそれをひけらかなさいものだ。

「はは。ですが、ユンカナン王家ご自慢の『三匹の犬』の辺境伯たちは、俺はまだお手合わせしたことはありませんからね。彼らは危険な辺境の国境を守るのが仕事ですから、王都にはあまり居なくて当然ですが」

 人とは違って特殊な能力を持つ獣人にも超戦闘種と呼ばれる三種は、特別だ。戦闘に特化した能力を持っているし、獣化すれば大型獣になりほんのひと薙ぎで人を殺せてしまうだろう。

「あら……確かにそうね。確か、この前にプリスコット辺境伯の跡取りニクス様はいらっしゃって居たわ。けど、彼らが闘技大会に現れることはないわね」

 雪豹プリスコット辺境伯家が王城に居るなど珍しい。あそこには未婚の三兄弟が居て、ユンカナン貴族令嬢たちは彼らに夢中。だからこそ、王都には近寄らないらしい。
< 201 / 216 >

この作品をシェア

pagetop