重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 彼女は婚約しているのだから、自分を愛することは当然だと言い放ったのだ。

 うんざりだった。

 極めつけは、何の罪もないアリエルに対し、嫌がらせをしていると聞いた時だ。

 幸いアリエルは何も知らず気がつかず、傍に付いて居る侍女がすべて対応したそうだが、何度か注意してもそれは収まらなかった。

 妹は僕の唯一と言える宝物だ。母が亡くなってからは、僕がこの子を守らねばと思い、彼女は僕の理想の女の子として育った。

 言い過ぎでもなんでもなく、アリエル以上に大事なものは、この世界に存在しない。

 そのことも、説明した。出来れば、円満に解決すべきだと思ったからだ。彼女とて親からの命令で僕と結婚せねばならない貴族令嬢だった。

 王妃となる道を断るにも多くを捨てねばならないこと、だが、王となる僕と結婚するのならば、ある程度の事は我慢すべきだということ。

 穏便に解決したく何度も話し合いの場を設けたが、それはすべて無駄に終わった。

 だから、僕は酒の席で、ついうっかりと口を滑らせた。あれと将来結婚せねばらなないなど、本当に憂鬱だと。

< 205 / 216 >

この作品をシェア

pagetop