重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 その三ヶ月後、小旅行中の彼女の事故死を聞いた時も、何の感情も湧かなかった。

 婚約者として悲しむべきだったのかもしれないが、それまでの彼女は、あまりにも僕の嫌がることをしていた。誰かの死は喜ぶことでもないので、それはしなかった。

 だから、何も思わなかった。ああ、亡くなったのかと静かに受け止めただけだ。


◇◆◇


「お兄様! ただいま!」

「おかえり。アリエル。大変だったようだね。何処にも、怪我はないか?」

 帰って来た途端に僕の腕に飛び込んで来た妹は、変わった様子は見つからない。庶民としてお忍びで旅をしたので、白い肌が灼けてしまったくらいだろうか。侍女に言って良く手入れするように言わねば。

「ええ。お兄様のおかげで、何もなかったわ。けど、私の護衛からの定期連絡が途絶えてから、すぐにあんな人数を送り込むなんて……驚いたわ。戦争を起こすつもりなの?」

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