重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 敵意ある者には絶対に侵入出来ないはずだけど、デュークには出来てしまう。何故ならば、彼は現在私の警備担当の総責任者だから。

 とは言え、そんなに仰々しく守って貰えるのも、彼と結婚して降嫁するまでの間のこと。それに、お父様からお兄様へと代替わりすれば、ただでさえ低い私の継承権はこれから先どんどん下がっていくだろうし、ここまで守って貰えた日々を懐かしく思い返す日がやって来るのかもしれない。

「アリエル……見なかった事に、してもらえません?」

 デュークは私が彼に会うために庭園まで降りて来たところで、私に聞いた。私だって彼の不利益になる報告なんてするはずがないんだけど、デュークはこれから仕事をサボりたかったらしい。

「……私も一緒に居られるなら、許しても良いわ」

「殿下よりお許しが頂けまして、恐悦至極に存じます」

 デュークは嬉しそうに振り返ると、日当たりの良い芝生の上で寝転がると、早速昼寝するために目を閉じた。

 私はそんな彼の姿に、既視感が湧いた。ああ……そうだわ。デュークの獣型の姿を初めて見た時も、彼がここで眠ってしまっていたからなのよね。

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