重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 私は獣人にはその存在を知ることが出来るという『運命の番』について、とても不安だったのだ。彼らはひと目会ったその瞬間から、互いのことしか見えなくなってしまうのだと聞く。

 それまで愛し合っていた人のことすら、何もかも忘れて。

「獣人の勘って、割と当たるんすよ」

 デュークは私の心の葛藤を読んでいるかのように、苦笑してそう言った。目を閉じていても、彼は本当に素敵。私は隣で目を閉じている彼の横顔を鑑賞しつつ、少々意地悪な質問をした。

「では、もし、現れたらどうするの?」

「もし、現れて俺が運命の番に心を奪われそうになったら……アリエルが殺しても、構わないですよ。俺の事。喜んで……貴女に殺されます」

 いきなりデュークの黒い瞳が見えて、私は息が止まりそうになった。彼が目を開けると思わなくて、驚いたから? その視線が、とても甘いものであったから?

 いいえ。殺しても良いと言ったその言葉が真実なのだと、真摯な黒い瞳が私に伝えて来たから。

「っ……デューク」

 殺しても良いなんて言われても、殺せる訳なんてない。だって、世界で一番に私が好きな人はこの人なのよ。

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