重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「そうです。さすがに隣で自分のことを好きな子が無防備に寝てると、色々とやばいっすね。服破ってでも、獣化をして良かったっす」

 しみじみとそう言って空を見上げたけれど、やっぱり意味不明だった。

「どうして服を破ってでも獣化したら、良かったってなるの?」

「獣化したら、ある程度、人の欲が客観視出来るんです。だから、性欲を収めるために獣化するんす。これって、割と有名な話なんですけどね。姫はお育ちが良いから、それは知らなかったんですね」

 私は獣人の生態はある程度学ぶとは言っても、そういう……性的なことは、確かに知らないかもしれない。

「……あれって、もしかして、そうだったの?」

 おそるおそる聞いた私に、デュークは空を見たまま何度か頷いた。

「それは、そうすっすよ。空腹時に目の前にご馳走置かれて食べられない気持ちを考えてください。地獄でしかないですよね」

「……今まで、そんなことは一度もなかったわ」

 私の人生の日々、いくら思い浮かべても、空腹と言える時がない。

< 214 / 216 >

この作品をシェア

pagetop