重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 しかも、ご馳走と言えば常にご馳走ではあったので、空腹時にご馳走を目の前に置かれるという意味はわからないのだ。

「そうですよね。アリエルは王家の姫ですもんね。俺……おかしいですね。そんな事も考えないなんて、どうかしてました」

「良いのよ……生まれて暮らして来た世界が違うと言われれば、その通りだもの」

 デュークはこれまでに平民として生きてきたし、私の生活をそのまま想像しろという方が難しいだろう。

 その逆だって、難しいように。

「まぁ……本気の重い感情に振り回される時って、こんなもんなんすかね。俺って、通常時は、そこそこ気が使える男なんですよ。姫はあまり知らないと、思いますけどね」

「そうなのよ。それは、知っているわ。私はデュークを好きになってから、ずーっと、そうだったの」

「そうっすか。今は同じくらいの重さで両思いなんで、どうもお待たせしました」

 不意に黙り込んだ私たち二人は、気がつけば目を閉じて眠ってしまっていたようだ。

 やがて、私だけが目を覚まし気がついた時には、デュークがすぐ傍に寄り添って、どんな良い夢を見ているのか、隣でごろごろと喉を鳴らしていたのだ。
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