重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 だって、亡くなった人はお金を積もうとも権力を持とうと、蘇ることはない。出来るだけ早く心の傷が癒えて、お兄様の次なる愛する方が早く見つかれば良いと思うだけ。

「お兄様……あの、大丈夫ですか?」

 黙ってしまった兄に声を掛ければ、にっこり微笑んで首を横に振った。

「いいや。悪い。何でもないよ。アリエルのお気に入りは、どんな事を話したんだい? 今朝も彼に会いに行っていたんだろう?」

 この王城の中、絶対的な権力を握るラインハルトお兄様には、私の行動なんて筒抜けでしかない。

 毎朝、私の恒例となっているデュークの執務室への訪問だって、この兄が許しているから、、誰も何も言われることはない。

「デュークなら、いつも通りですわ。あの方は私なんて、相手にもしてくれないの」

「それは、世にも珍しい男だね」

「……けど、実はそういうところも良くて好きなの。変わっているかしら。私は片思いの楽しいところだけ、ずっとずっと楽しめるもの。結ばれることがないと最初からわかっていれば、変に期待せずに傷つかずに済むわ」

 私の正直な言葉が意外だったのか、ラインハルトお兄様は不思議そうにした。

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