重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

05 あの時

 デュークに恋をした理由は私が持つ姫という身分に、とてもありがちなきっかけだったのかもしれない。

 お兄様たち三人全員が王立のアカデミーへと通われている間、彼らにいつも遊んで貰っていた末妹の私は、とても暇で退屈だった。

 姫は警備上の問題があって、アカデミーに通えないというのも面白くなかった。

 そんな退屈な日々に飽き飽きしてしまった頃に、どうしても王都へのお忍びに行きたいと我儘を言って希望したのだ。

 王族の癖にヤンチャなお兄様たちが、その当時の私よりもっともっと幼い頃から、王都へお忍びを繰り返していたことを私は知っていたので、それを盾にとった。

「お兄様たちが良いと言われていたのに、妹の私がダメと却下されてしまうのは絶対に納得出来ないわ。もし、納得出来る理由があるのなら、それを説明しなさい」

 十分な護衛を連れているならば、安全面は理由にならない。

 そして、私に対しとても甘いお父様の口添えもあり、ほんの短時間の予定と言えど、王都へのお忍びで遊びに行くことに私は成功したのだった。

< 26 / 216 >

この作品をシェア

pagetop