重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 もし、誰かに言えば『何を贅沢なことを』と言ってと眉を顰められてしまいそうだけど、一国のお姫様として常時敬われ大事にされている私も、たまに一人だけになって、こうして散歩をして、息苦しい身分を忘れたい時があった。

 通常であれば、薔薇の離宮は義理の母で現在の正妃であるセリーヌ様が住む流れになるはずだった。

 けれど、早くに母を無くした幼い私を気遣い母親の記憶が残る場所で過ごさせてあげたいと言ってくださり、私に離宮を譲ってくださったのだ。

 元々は側妃であったセリーヌ様と私は、義理の親子という為さぬ仲ではあるものの、真面目で誠実な彼女のことは尊敬している。

 セリーヌ様は優しさを持つだけではなく、国を統治する王族としては相応しい考えを持ちとても公平公正な人だ。

 だから、私が一臣下であるデュークに入れ込んで、彼に傾倒しているという話を聞いた彼女には当たり前だけどあまり良い顔はされていない。

 『王族は仕える臣下の特定人物を贔屓せずに公平に接すべきだ』と、彼女から何度も何度も聞かされた。

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