重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 きっと、私が持つ事情を説明したところで、それは軍務大臣であるヘンドリック侯爵とデュークの二人の問題なのだから、私は何もするなと言われて終わってしまう。

 私は一方的に好意を寄せているデュークのためなら、自分の評判など別に地に落ちても良いとまで思っていた。

 だって、デュークのことが本当に好きだから。

 ゆっくりと散歩道を辿り、ふと目を留めた木の下で横たわり眠っている人を見た時に、私はあまりに彼のことが好き過ぎて、とても都合の良い幻覚を見ているのかもしれないと思った。

 けど、何度か瞬きをしても、その幻は消えない。

「え……デューク?」

 何故、彼がこんな場所に居るの?

 そろそろと足音を忍ばせ近づけば、すうすうと穏やかな寝息を立てて完全に睡眠中のデュークが木の下に居た。

 現在、陽も高い昼日中の時間帯。

 騎士団長デュークは間違いなく仕事中のはずだ。役職付きの彼は、夜勤なんてするはずもないんだから。

 そして、警備兵は一体何をしてるの? と思ってしまったけど、デュークはこの国に仕える要職にある騎士団長で不審者には当たらない。

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