重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 いつものように胸の前で両手を組み、ついつい心の叫びが唇からこぼれ落ち、毎日毎日こういった私の告白を聞かされて続けているデュークは、大きくため息をついて言った。

「姫。もう、ここではっきり言いますけど。こうやって、朝に日参されると……迷惑なんすけど」

「そうやってつれないところも、素敵ぃ」

「……」

 やだ。眉を寄せて若干迷惑そうな表情も、本当に例えようのないくらいに素敵。デュークにこれは何を言っても無駄だって、そう思って貰っても私は全然いいの。

 ……だって、本当にそうだもの。

 私はユンカナンの末の王女で、亡くなった正妃である母と同じくして生まれた兄は、現在王位継承権第一位の王太子。

 つまり、直近の未来の最高権力者が背後に居る私に対して、この国に対し忠誠を誓い王に仕えている騎士である彼は、どうしても逆らえないの。

 何も言わずに黙り動きを止めてしまったデュークの隣に立っていた彼の補佐をする役目の副団長マティアスが、私がこうして部屋に入って来てからも冷静に書類を捲っていた手を止めて、思い出したかのように言った。

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