重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 意中の男性に誘いを断られるという傷を心に負ってしまったものの、これで諦めてしまっていたら、これまでデュークと一緒に居られる訳もない。

「お願いお願いお願い」

 両手をぎゅっと握り締めて彼を見つめれば、強い想いを込めた視線の効果なのか、ようやく彼はこっちを見てくれた。

「俺。色々と忙しいんすよ。姫は知らないと思うんすけど。代わりに、マティアスではダメなんすか」

 隣に立っていた猫っぽい吊り目を持つマティアスをチラッと見れば、上司に代理で名指しをされた彼は無表情で目を細め、裁判官が判決を下す時のように淡々と言った。

「姫様。団長のスケジュールでしたら、とても珍しいことに、半日ほど空いておりますよ。とてもお強い団長と一緒に居れば大丈夫だとは思いますが、どうぞ気をつけていってらっしゃいませ」

「……裏切者が」

 いつもより低い声でデュークが批難しても上司の脅すような声には慣れているのか白猫獣人マティアスは、平然として肩を竦めた。

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