重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「何を言っているんですか。仕事だと言うのに、可愛いお姫様と、街でデート出来るんですよ。役得ですよ。お洒落して張り切って行って来て下さい。という訳で、姫様。何時に何処に待ち合わせをすればよろしいですかね?」


◇◆◇


 駄目で元々と思って居たはずのお忍びデートだったけど、思わぬ人の援護射撃もありデュークを言いくるめる事に成功した。

 慌てて私はお忍びに使えるような庶民服を引っ張り出した。

 侍女のエボニーとアイボリーとああでもないこうでもないと鏡の前で服を取っ替え引っ替えして、街で見ても違和感のない可愛い髪型をした時には、もう既にお昼になってしまっていた。

 デュークとの待ち合わせは、裏門の近くの応接室。

 通常ならば、城に出入りする商人との打ち合わせに使ったりする部屋だ。

 そう言った用途から部屋の調度などは城の中にあるとは言え、あまり贅沢なものは使われていない。

 けれど、そんな素っ気ないくらいの部屋の中に居て、いつもの騎士団長服ではない簡素な服を身につけたデュークは部屋の背景から浮き立って見えるほどに素敵だった。

「姫様……なんか、楽しそうっすね」

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