重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「いや。俺なんかには、姫は勿体無いですって。サバナ帝国にでも、嫁いだらどうですか。あそこの皇帝、今嫁探ししてて、美男で有名らしいっすよ」

「どんな美男だとしても、デュークには敵わないわ。世界で一番貴方が素敵だもの」

「せめて、皇帝の容姿を見てから、それを言ってくださいよ。姫。なんか、俺のこと好き過ぎて、ちょっと怖いっす」

 愛が重い発言に、また少々引いた様子のデュークは私が美男と噂のサバナ皇帝を知らないから、そんなことが言えるのだと言いたげだ。

「あら。サバナの皇帝の絵姿なら、この前見たことがあるわ。私にと縁談があったそうなんだけど、お父様とお兄様が却下したのよ。彼の姿絵を捨てる前に見たけど、私の言葉に嘘はないわ。デュークの方が百倍は素敵なのよ」

「え……いや、あれだけの広い領土を持ってる皇帝より、騎士団長でしかない俺を選ぶって……そうすか。うちの国の姫って。絶対、価値観とか審美眼が狂ってるっすよ。一度、お医者さんにでも目を診てもらった方が良くないすか?」

「王家の専属医から定期検診だって受けているけど、今まで特に身体の異常を言われたことはないわ」

「そうすか。そこは、真面目に答えるんすね。まあ、もう姫の目が悪いかもしれない話はこれで良いっす。それではご所望の、お忍びの王都へと向かいましょうか」

 裏門を抜けた先にお忍びの時用の王家の紋章などもない目立たない馬車が待っていたので、私はデュークの大きな手を取りその馬車へと乗り込んだ。


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