重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 助かってからようやく、自分がさっき死の危険にあったことを遅れて理解したらしい。

 男の子は大泣きして叫び出し、すぐに近くに居た母親が慌てて迎えに来た。

 彼女は泣きながら、私とデュークに何度も何度もお礼を言ってくれた。

 けど、力のない私が無理に手を引いたせいか……男の子の膝には、大きな擦り傷が出来ていたことに気がついた。

 母親は痛い痛いと泣いている男の子を抱きしめて、頭を下げながら去って行った。

「……周囲の人は、あの子が危険だとわかっても、誰も動くことが出来ませんでした。姫は立派なことをしたと思いますよ」

 デュークは怪我に気がつき目に見えて落ち込んだ私を見て、気をつかってくれたようだった。

 彼の役目や立場を考えれば、自分に言わずに勝手なことをしてと叱ってもおかしくないと思うんだけど……本当に優しいんだから。

 デュークは警護対象の私があの子を助けようと動いたことを、一切責めたりはしなかった。

 こうして落ち込んだ時に優しくされてしまうと、以前に言われたように、もっと彼を好きになってしまうと思うんだけど……それは、良いのかしら。

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