重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「けど、怪我もなく、救えなかったわ。私は国民を守るために存在する王族なのよ。あんなに小さな子だって、無傷で救うことも出来ないの」

「……あの状況では、神様でもないと無理ですよ。姫が咄嗟に動けたから、あの子の命は助かりました。それだけで十分過ぎるほどですよ。お釣りだって出て来るっす」

 デュークはあの子が救えたというのに、私が何故ここまで落ち込んでいるのか理解に苦しむのかもしれない。

 けれど、王族としての教育を幼い頃から受けてきた私には、こうして落ち込んで自分の行いを反省することも大事なことだった。

「皆が無理だから出来ないと諦めていることを、王族は平然としてやり遂げなければならないの。だから、国民はそんな王族を支持し敬い従うのだと思うわ。あんな……簡単なことも上手く出来ないなんて、私はきっと失格ね」

 デュークは私の言葉を聞いて、ふうんと大きく頷いてニヤッと笑った。

「姫って、可愛いだけのお姫様じゃないっすね。なんだか、見直しました」

 恋する乙女は好きな人に可愛いと言われれば、落ち込んでいても即機嫌を直してしまう習性を持つ、単純明快な生き物である。

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