重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 机に肘を付き真剣な眼差しで私を見つめるデュークは、本当に素敵。そんな訳で私は当然のように、彼に結婚を申し込んだ。

「デューク。お願いだから、私と結婚して!」

「いや、俺の話聞いてないでしょ。それに、何回も言いますけど。それは、無理っすよ。俺は身分も何もない、庶民出身なんで。姫のような王族は同じ王族とか貴族とか、その辺りの男性と結ばれるのが一番良いんじゃないでしょうか。そういう……面倒も苦労もない、周囲から祝福されるような幸せな結婚を、選んでくださいよ」

 デュークは面倒くさそうでありつつも、いつも通りに自分のことを好きな女性が傷つかないように配慮してか、私の持つ身分ゆえに仕方ないのだという丁寧な断り文句を使った。

「素敵……そんな風に、つれないところも……本当に、好き!」

「……」

「団長。可愛いお姫様とそうやって遊んでないで、この書類に判子を押して下さい。これは、本当に急ぎなんです」

「……」

 数え切れないほど繰り返されたやりとりに、うんざりした表情を隠そうともしないデュークは、きらきらした目で彼を見る私に視線を向けたまま、無言でマティアスが差し出した書類を乱暴に掴んだ。

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