重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 嘘偽らざる彼の言葉は、私の心の奥に届いた。そういうこと、なのかもしれない。楽に生きたくて、本来の自分でないのなら。

————-その人生は誰のもの?

 ここでデュークが私のことなどどうでも良いとばかりに当たり障りのないことを言って流石姫様と褒め称えれば、彼をそういう人だと判断してしまうだろう。

 けれど、デュークは言う必要のない彼が思ったことをここで敢えて正直に言ってくれたのだ。

 楽だから面倒がないからと逃げ続けていることは、彼のこうして私のためにやってくれたことと正反対だと身を以て教えてくれた。

「……王族の意向を気にするべき臣下が、とても差し出がましかったっすね。申し訳ありません」

 黙ってしまった私にデュークはぶっきらぼうな様子で深く頭を下げたけど、私は彼らしい仕草に思わず微笑んだ。

「ふふ。もう。デューク……全然、自分が悪いと思ってないでしょ」

「実を言うと、まったく思ってないっす。上流階級の皆さんの……貴族たちの腹の探り合いは、庶民育ちは見てて楽しいもんじゃないんで。姫は頭が良く機転も利く良い女なんで、出来たらそれを隠さず自分の人生を歩いてください」

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