重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 ここ一番の時にしか働かないような人が、上司には睨まれつつも王城で騎士団長などは絶対に務まらない。デュークだけが唯一の特別であるかのように、私には思えた。

「俺は実は、純粋な獅子ではないんです。祖母さんが、虎だったそうなんで。そういう他種族の血も、良い仕事をしてるのかもしれないっす」

「そうなのね。獣人の一族も、昔と違って混血も進んでいるって聞くもの。獅子も虎も。どちらにしても強いから、デュークはとても強いのね」

「言い過ぎっすよ……それより、姫って爪を隠している鷹なんすよね。俺はその方が、不思議っす……なんで、そんなことを?」

「私は、自分の今の立場を良くわかっている。母を早くに亡くして家族から甘やかされた姫で、周囲から見ればとても扱いづらい存在であることは。自分の立場は、弁えているつもりなの。私のような王太子の兄に可愛がられている末姫は、良い意味でも悪い意味でも……目立たずにいた方が良いことも。だから、そうした方が、良いと思ったの」

 自分でも上手く説明出来ない私が言った言葉を聞いたデュークは、やっぱり眉を顰めて良くわからないと言った表情だ。

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