重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 思わず前々からの本音を出し、しんみりとした空気になってしまったことに気がついて、慌てて話を変えようと何かを言おうとした私にデュークはお茶を飲みつつ目を細めた。

「姫自身はそう思っているかもしれないっすけど。ユンカナンの国民は、ほぼ全員が姫がこうして存在していることに、常々感謝してるっすよ」

「……え? なぜ?」

 デュークに今まで思ってもみなかったことを言われて、私には本当に不思議だった。

 彼は勿体ぶった仕草で頷き、足を組み替えた。

「可愛い末姫には嫌われたくないからと、高い王位継承権を持つ三人の殿下たちの仲は良好で、国を良くしようと一致団結し、それぞれに役目を持ち存分に果たされている。血塗られた王位争いなどは可能性もなく、国は豊かで平和で、何より陛下ご自身もここ何代かで一番の賢政を敷く王として有名です。だから、姫は何もしなかったとしても存在しているだけでこの国の王族としての役目は、果たしていると思うっす」

 デュークだからこその嘘偽りのない言葉に、私は思わずまた本心から彼に求婚してしまった。

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