重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

12 正反対(side Duke)

 獅子は百獣の王と呼ばれ、獣の中で最強だとはされている。

 だが、獅子獣人を戦闘員として扱うとするならば、いくつかの重大な問題を抱えることになるだろう。

 日々、食糧を求め集団で計画的に狩りをすることが役目だった雌たちも確かに強い。だが、巷で言われているようにな最強に位置するとされているのは、獅子獣人の雄の方だ。

 獅子獣人の雄は、気分にムラが有り過ぎる。

 基本的な性格は、怠惰で無欲で執着なく無関心だ。と言うことは、基本的に誰かの思い通りには動かない。

 指揮官の思う通りに動かないのならば、その兵は兵として機能はしていない。

 国としては強い兵は欲しいは欲しいが、指示を聞かず統率を乱す獅子獣人の扱いに苦慮してしまうという事態も、これまでには多く見られたらしい。

 俺はそんな中で、とても働き者だったという話の残る虎獣人の祖母さんの性格が奇跡的に遺伝した。

 能力的に言えは獅子ではありながらも、獅子一族の中ではやる気のある方だった。

 あまり安全な地にあるとは言えない獅子一族が住む集落を守るのは、雄が順繰りに回る当番制だった。

 いつからか他から役目を押しつけられてばかりの最年少の俺が、誰も守らないので仕方ないと働けば、ほとんどの仕事を担当することになってしまった。

 それを良くないと危惧した一族を取り纏める族長から『お前はもう、ここで暮らさない方が良い』と、村を追い出されてしまったのだ。

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