重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 我が国の末姫アリエル様は、お姫様というのはこうあるべきと誰もが思うような可憐で美しい容姿を持っている。

 この国を統べる陛下にも三人の兄からも、溺愛されているというのは国民誰もが良く知る話だ。

 そんな方から『好き』だの『結婚して欲しい』だの何度も何度も飽きないのかと心配するほどに言われ続けて、流石に俺も悪い気はしていない。

 だが、庶民と王族という身分差というのは、超えられぬ高過ぎる壁だ。

 世間知らずの彼女を大切に思うなら、自分が突き放す以外ないことは、俺だって理解はしていた。

「団長の持っている容姿の印象が、姫が生まれてから今まで一緒に居た殿下たちとは正反対だからでは? 彼らは辺りを払うような美形ではありますが線が細いので、戦うことが日常の団長のような野生的な魅力は確かにないかもしれないですね」

 何枚か重ねていた書類に判子を押した順に一枚一枚抜き取りながら、マティアスは彼が予想する姫が俺を好きな理由を推理した。

「確かに、殿下たちは俺とは全く違うな……食べ慣れてないものの方が価値があるように、アリエル様には見えてしまっている……という訳か?」

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