重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 そんな私の勝手な予想などはお構いなく、デュークは圧倒的な強さでもって勝ち抜き戦を駆け上がった。

——————決勝戦は、団長対団長。

 デューク贔屓な私も含め大方の観客たちは、流石にこれは厳しく長い戦いになるだろうと思ってはいた。

 けれど、デュークはあっさりと強敵を片付けて剣を収めると、私たち王族や高位貴族が座る観覧席へと勿体ぶって礼をしたのだ。

 あまりにも早く勝敗が付いてしまった試合に一瞬会場全体が戸惑ったものだが、ぶわっと湧き上がるようにして熱狂的な歓声と祝福の拍手の渦が巻き起こり、その光景は本当に圧巻だった。

 私はデュークが圧倒的に強いために、すぐに勝ってしまうのだと思っていた。けれど、実はそうではなかったみたい。

 隣に座っていた軍属のジャンお兄様の視点では、あれはデュークが『彼は敢えて、短時間で終わらせている』のだそうだ。

 要するにとても怠惰な性質を持っている彼は、戦闘を長引かせたくないからと思い、対戦相手に合わせた巧みな戦術で短時間で戦闘を終わらせているらしい。

 デュークはあくまで、余裕な顔だ。

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