重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 気分も上がっていて『少し聞いてみるだけ』と自分に言い訳しつつ、デュークの活躍ぶりに浮かれていた私はお父様に自分の希望を伝えることにした。 

「お父様。あの、私……デューク・ナッシュと結婚したいの。庶民出身だけど……いけないかしら?」

 すぐ隣に座っていたお父様は、彼にだけ聞こえるようにと耳打ちした私の希望を聞いて、ひどく驚いているようだった。

 デュークが私のお気に入りであることは、城中の噂になっているんだけど、お父様は他に考えるべき重要な要件があるから、娘が一騎士に夢中になっている噂など耳にはしていなかったのかもしれない。

「……あの、黒獅子の獣騎士団長と? そうか。アリエルは、彼が良いのか……儂は彼が良いと言えば良いが……また、機会があれば儂から聞いてみよう」

「お父様……ありがとう! 彼はとっても頭も良いし、心ばえも素敵な人なの。お父様も彼に会って話を聞けば、きっと気に入るわ」

 第一関門である父に結婚相手がデュークでも良いと言って貰えた私は、喜びの余り両手の指を組んで胸の前で握り締めた。

 父は私に対して確かに甘いけど、政治に関しては厳しい。

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