重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 だから、国の為にならないと思えば、これは絶対に許されなかった。父が考える余地があると思っているのは、それほどまでにデュークの強さは凄まじいのだろう。

 他国には、絶対に取られたくないと思うほどに。

「だが、産まれた時の身分差は、埋め難い夫婦の不和の元にもなり得る。習慣も考え方も違う。若い頃の容姿だけでは、生活は出来ない。それでも、アリエルは大丈夫かい?」

 お父様の心配は、尤もな話だ。

 身分差のある結婚は、すぐに手放しで喜ばれるような単純な話でもない。それは私にだって、理解は出来て居た。

「……ええ。もちろん。デュークが私との縁談を受けてくれるといえば、それを埋められるくらいの多くの努力をすると誓うわ。お父様……私は国民の代表として産まれた、王族なのよ。人の出来ない事が出来るとされ、そうあることを国民から望まれている。私に出来る最善を尽くして、彼とは上手くやっていきたいの」

「誰に似たのか、アリエルは本当に真面目だな。わかった。頃合を見て、ナッシュに聞いてみることにするよ」

 ユンカナン王国で至上の存在のお父様は、誰かと約束したことを決して破りはしない。

 出来ない約束を、そもそも彼はしないのだ。

 だから、お祭りで気分が舞い上がり浮かれていた私はデュークに縁談を受けてもらえることを祈るしかなかった。


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