重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 獅子獣人たちは、大昔建国以前は一匹の強い雄を中心とした群れを為す一夫多妻制であったそうだ。

 長い長い時が流れ、交通網なども整備され、物資の流通なども潤沢な今。

 彼らは群れて必死に猟に出て、食糧となる獲物を狩らねばならないことも無くなった。

 物資に困らない現在では、他の獣人たちと同じように『番』と呼ばれる唯一の伴侶を見つけてしまえば、一生一途に愛するように習性が変わっているらしい。

 生き物たちは環境が変わる度に、それに適応して進化し続けるというのは、本当だったのだ。

 とは、言っても。

 大好きな獅子獣人デュークと将来的に結ばれるつもりもない私には、それはとても夢があるわとは思いつつも要らない情報ではあった。

 デューク本人が何度も何度も口を酸っぱくして言っている通りに、私たち二人には王族の姫に平民出身の騎士……身分差があり過ぎる。

 いくら私が、デュークを世界一好きで。

 万が一の確率で彼が将来私を自分の番にと望んでくれたとしても、世の中には無理が通ることには限界があるものだ。

 現王の末子である私には、兄が三人居る。

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