重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 セリーヌお義母様は、そのことも良くは思っていない。

 いずれは離れることになる妹なのだから、兄には適切な距離を取れと言いたいのだ。

「ラインハルト。十分に自分の責務について理解をしている癖にそれを果たさない貴方にも、私は小言を言うべきなのかしら?」

 セリーヌお義母様に向けて、ラインハルトお兄様は女性が見ればうっとりしてしまうような笑顔で頬笑んだ。

「僕は別に、構いません……義母上の気が済むように。ただ、アリエルは頭の良い子なので、自分のすべきことは理解しています。若い女性が恋に落ちてしまうことを、止めることは誰にも出来ないでしょうね……結婚すべき相手以外の誰にも会わないように、部屋に閉じ込めてしまうなら別でしょうが」

 誠実であることを尊ぶセリーヌお義母様が、義理の娘がそんなことになるのを望むはずもない。

 ラインハルトお兄様は、妹の私が頼んでもいないのに義母をやり込めてしまったようだ。

 彼女とて、そう思ったのだろう。持っていた扇をゆっくりと広げて、眉を顰めた。

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