重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「娘を閉じ込めるなど。そのような非人道的な事をする訳がないわ……私も気付いてはいます。アリエルは男性を立てようと、自分が優秀であることを隠しているのですわ。私の息子達が、いけないわね。圧倒的な能力を男側がより表わせば、アリエルのような才知ある女性も、自分の心の赴くままに生きやすい世の中になるでしょう……そうね。ラインハルトは、十二分にそうしているようですが」

「義母上から、お褒めに預かり光栄です」

 その程度の軽い嫌味など、特に問題もないとばかりに余裕ある表情で微笑んだラインハルトお兄様に、セリーヌお義母様ははあと大きくため息をついた。

「……良いわ。アリエル。ヘンドリック侯爵のサミュエルと、今夜は踊ってらっしゃい。私はサミュエルが降嫁先の候補としては、一番良いと思っているわ。いつもいつも血の繋がった兄と踊ってばかりでは、人の中身を知ることなど出来ないでしょう……返事は?」

「はい。そう致します。お義母様」

 神妙に頷いた私の態度にようやく満足したのか、セリーヌお義母様はお父様の元へと向かった。

「義母上も、強引だな……アリエルが踊りたくなければ、別に踊らなくて良い」

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