重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
 ラインハルトお兄様の豪奢な金色の巻き毛に、シャンデリアの光が跳ねてとても美しい。

 ……とは言っても、兄の容姿はつま先から髪の先まで、寝起きの時でさえも常に完璧なのだけど……妹の私が言ってしまうのも変な話だけど、どこからどう見ても完璧な王子様なのだ。

「お兄様。気にしなくても大丈夫ですわ。サミュエル様は、女性が嫌な思いをするような、そんな男性ではありません。むしろ、今の社交界をときめく貴公子ではないですか」

 人気のあるサミュエル様と踊りたいと願う女性は、この会場に居るだけでも多いだろう。私はそういった意味では、とても変わっているのかもしれない。

 デューク以外の男性と踊れたとしても、全然嬉しくないもの。

 貴族が好むような繊細で壊れやすい芸術品のような洗練された男性の良さも、わからなくもない。

 けれど、私はデュークのような荒々しくも野生味を感じさせるような男性が好きなのだ。

「今をときめくという意味では、僕は用無しの王太子のようだ」

「まあ……お兄様ったら。もしかして、拗ねてますか?」

 とても珍しく自虐的な事を言った兄に、私はふふっと微笑んだ。

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