重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「サミュエル・ヘンドリックは父親に似ず、偏見もなく真面目な男のようだ。アリエルが彼を気に入るならすぐに縁談は決まるだろう。お前の降嫁先が本格的に決定すれば、中途半端に望みを持って婚約者を決めていない令息も、すぐに適当なところで手を打って婚約するかもしれない」

 肩を竦めてラインハルトお兄様がそう言ったということは、きっと最終決定権を握るお父様だって同じ考えだということだろう。

「王家の血を持つ者の重責に身震いしますわ。お兄様……私。デュークが来る前に、サミュエル様と一曲だけ踊って来ます」

 カーテシーをして去ろうとした私に、ラインハルトお兄様は面白そうな顔をして言った。

「……おや。あいつとは、この先結ばれなくても良いんだろう?」

 確かに数日前お兄様に、デュークと結ばれることなど望まないと言ったばかりだ。

 私は舌の根も乾かぬ内に、その考えを翻したことになる。

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