重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~
「……少し、考え直しました。お父様が前向きな言葉をくれたので彼に地位を与えて、もしデュークが頷いてくれるなら。とても強い騎士である彼をこの国に留め置ける存在になるという、国益にもなります。そうすれば、私も願ってもないものですわ」

「お前は……そんな余計な事を、考える必要はない。王としての身分に縛られ犠牲になるのは僕が居れば十分だ」

 ラインハルトお兄様の過保護ぶりはいつものことなので、私は特に反応をすることなく肩を竦めた。

「あら。お兄様。私はお兄様が王家としての責務に縛られ地獄に赴くなら共に参ります。そうしたいと私が勝手に思うのは、自由なことのはずです」

「お前の人生なのだから……お前が思うように、生きれば良い」

 お兄様は私をやたらと甘やかす。けれど、私はそれを望んでは居ない。

 私は兄に黙って礼をし、令嬢たちの群がる貴公子。サミュエル・ヘンドリック様へと向けて歩き出した。



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