本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
 彼側から縁談を持ち込まれ結婚することになったアンドリュース公爵ライアンは、縁談が決まって早々に『僕は君と子どもを作る気はないので、二年後は君の好きにして良い』と、淡々とした口調で初対面の私へと伝えて来たのだ。

 これは、肉体関係のない夫婦として『白い結婚』にしようと、そういう意味だ。

 ライアンは開口一番に、私にそう告げたのだ。

 私たち貴族の結婚はその家の血を繋ぐことこそが重要で、肉体関係のない結婚になど何の意味もない。二年間ほど子どもが出来なければ、女性側は実家に返されてしまう。

 そして、夫婦生活の実態がなく、このまま子どもを授かることもないのならば、結婚自体を無効と教会へ申請することが出来るのだ。

 だから、私はライアンに結婚をするにはするけれど、肉体関係を持つことなく、二年後には別れようと言われたも同然だった。

 まさか初めて会ったばかりの彼にそんな事を伝えられるなんて思ってもみなかった私は、ライアンの白い結婚宣言を聞いて大きく混乱した。

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