本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
 おまけに広い領地を持つ裕福な公爵で、何を買っても構わないと告げられ、私は何を我慢することもない贅沢な暮らしをさせて貰っている。

 実は私は結婚するまでライアンには、私と別れた後に結婚をしたい本命の女性でも居るのかしらと思っていた。

 けれど、それにしては城勤めを終えた後は、すぐに邸へと帰って来ているし、仕事の休日だったり空いている時間があれば、妻である私を伴って外で食事したがったり演劇を観に行きたがった。

 ライアンは唯一の趣味が食べ歩きの美食家で、美味しい食事には目がなかった。妻の私を伴って王都に美味しい店があると聞けばすぐに行き、有名な店は制覇していると言っても過言ではない。

 外交で陛下に同行する以外には、外泊をすることもないし、女性からの手紙だって一度も見たことはない。

 愛していないはずの妻をそれなりに大事に扱ってくれるし、女性の影などがちらついたこともない。それに、話してみれば誰もが思う通り、ライアンは真面目な性格で、妻が居ながらにして女遊びをするような男性ではなかった。

 だから、私は半年経った辺りから『なんだか、おかしい』と、思うようになっていた。

< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop