本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
 食道楽の彼のこと。もしかしたら、気になる新しいレストランを見つけたので、今夜は私と一緒に行きたかったのかもしれない。

「あ。ごめんなさい。ライアン。今夜は私、予定があるの」

「そうなのか……珍しいね。ニコル」

 私がこれまでに彼の食事の誘いを断ったことがないせいか、ライアンは軽く驚いているようだった。

 ライアンとの食事の時間は私にも楽しいものだったので、彼が食事に誘ってくれそうな週末の前の夜は、予定を入れていなかった事は意実だけど。

 彼と離婚すれば、そうすることももう、なくなってしまう。

 寂しい気持ちはあるけれど、最初から決められている期限なのだから、仕方がなかった。

「ああ、ライアン。貴方にはまだ、言って居なかったかしら。モートン男爵家の跡取りハリーお兄様が、先日ようやく三年間の留学から戻られたのよ。だから、その兄に会いに行ってくるわね。もしかしたら、その後は実家へ泊まって来るかもしれないけれど、気にしないで」

 兄ハリーは留学中、一度か二度、重要な書類を取りに来たきりで、本当に私もゆっくりと会うのは久しぶりなのだ。

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