あなたが囁く不倫には、私は慟哭で復讐を。

プロローグ

生まれつき弱視の仙石 明穂(せんごくあきほ)(25歳)は結婚2年目の専業主婦。幼馴染であり夫の仙石 吉高(せんごくよしたか)(28歳)とは目が不自由ながらも支え合い穏やかな結婚生活を営んでいた。

紗央里(さおり)

 ある晩、吉高が聞き覚えのない女性の名前を口にした。

(さおり、誰)

 不穏な空気が漂う日々。

「明穂、顔色が悪いよ」
「ーーー大智(だいち)
「吉高さんに彼女がいるみたいなの、助けて」
「まさか吉高が」
「名前を呼んだの」

 品行方正な兄に限ってそんな事は無いと大智には(にわ)かに信じられない告白だった。

「さおりって呼んだの」
「まさか」

 明穂は幼馴染であり義弟の仙石 大智(せんごくだいち)(28歳)と2人で夫の不倫の証拠を掴むべく行動を共にする事となった。
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