魔法石の密造人2/極限狂乱・犬エルフ・魔女誕生・新しい幸せ
犬エルフの少年とパン屋の娘(3)/ゾンビ軍団かと思ったらヤク中犯罪者、そして私たちは魔女
1
まさか、その日のうちに「三人目」が現れるとは思ってもみなかった。
しかも知っている女性。
森林エルフの女魔法使い、ミケナ・フロラ先生は、幼き日に最初の魔法の授業をしてくれた麗しいお姿で、教え子の私の様子を見に来てくれたのだった。即座に異変を察したらしく、事情を知るにつけて「大人向けの特別教育」。
「あんな小さな女の子だったのに、すっかり女になっちゃって。めっちゃ色気出てる」
外見年齢が近くなったこともあって、同年代の年上の先輩な友人みたいに話しやすい。
その晩、宿泊中のレンタル小屋に招かれて「禁忌の花園」に入門してしまった。普通は同性は論外のはずなのだが、歓喜の汗と涙とお潮吹きして、穢れと毒が流れ出していくようだった。植物性の特別なアレは粗雑な男どもより百倍も快楽で、本当は苦痛でなく「こんなに良いもの」なのだと思い知らされた(次はレト君とハンスお兄ちゃんだよ)。
エルフの女魔法使い、おそるべし。
2
その週に(魔族に)「忠勤に励む者」たちが報復と称して、「粗悪なゾンビ軍団」を町に送り込んできたのだけれど、タイミングが悪かった。
しかもゾンビと言いながら、実際にはヤク中の犯罪者たちに筋肉増強剤を投与しただけの暴徒。
レト君が「犬魔法」でオーラの子犬を形成し、鷹を放つがごとくに投げつけて、顔に張りついたり抱きとめると「和んでしまって戦意喪失」。レト君は優しいので、そいつらを物置小屋に投げ込んだり、鞘のままの剣の平で叩いてぶちこんだ。鎖やロープで厳重に縛って封鎖、ひとまず一件落着のはずだったのだけれど。
あいにくミケナ・フロラ先生が居合わせた。
それこそ彼らにとって致命的に来襲した時期のタイミングが不運だった。
「アネットちゃん、灯油はある?」
「あいよっ!」
以心伝心の意気投合で、私はノリノリで灯油缶をとってきて、二人で捕虜ゾンビの勾留小屋に撒く。確実に全員を爆死や焼死させるための魔法石(爆発・燃焼性の黒曜石)の設置も忘れるな!
「な、何をやっているんですか? ちょ、ちょっと待ってくださいよっ!」
慌てたレト君が私を羽交い締めして制止しようとして、後ろから抱きつかれておっぱい掴まれて「やんっ」と悶えてしまった。
私が頬赤らめて照れ微笑んで「レト君のえっち!」などと言っている間にも、ミケナ・フロラは鼻歌しながら容赦なく灯油をかけて、逃げられないように高圧燃焼の植物薬品まで仕掛けている。
「み、ミケナさんっ! あなたという人は、前にも戦意喪失している敵に火炎魔法してましたよね?」
「だってぇ。こういう人たちに無用の情けをかけてもしょーがないしぃ」
わざとらしい舌っ足らずな甘えた口調で空とぼけて、問答無用で発破するミケナ・フロラ。火炎の柱が空に立ち上った。
「ほおら。彼らの魂は救われたわ」
私たち(ミケナと私)は満面に笑みで拍手する。
駆けつけたハンスは呆然と虚脱して、レト君は諦めたようにため息で頭を振っていた。
3
それから、ミケナのレンタル小屋で魔法石や魔法薬をまとめて製造した。
私の魔法石は使用期限が一ヶ月くらいだが、ミケナが重ねて魔法をかければ一年近く日持ちするようになる。これを地雷のように、町の外部の荒野などに設置して、アホな魔族に自動攻撃するトラップとして仕掛ける。
ミケナが作った魔法薬(私も手伝った)は、人畜無害だけれども、魔族が触れると強度のアレルギー反応するえげつない代物なのだ。これを町のあちこちに害虫殺しのように仕掛けておいて、間抜けな魔族が引っかかるようにする。もちろん軍や警察の武器に塗って使う分も製造して、格安ながらに悪くない儲けにもなる。
「これで死地だわねえ。魔族がこのあたりに迷い込んだら地獄を見るわあ」
「何匹くらい引っかかるでしょう? 恐れて近寄らなくなるまで、思い知らせないとですよねえ」
ミケナ・フロラの企み秘めたる陰険で邪悪なまでの笑顔は、ほとんど魔族の女とどちらが魔女だかわからないくらいの風格だった。それを手伝って一緒にやっている私だって魔女みたいなものだろうよ。
レト君とハンスが食事や衣類を持って差し入れに着てくれるのだが、そういうときに限って私たちが水浴びや着替えしている。わざときわどい肌着姿で出てからかったり、仕舞いには私たちの夜の行為を見せつけてやった(ミケナが魔法で足止めして目を閉じられないようにして)。
もはや私たちは魔女みたいなものだ。
明日はドワーフの女軍曹が、捕獲した魔族を拳とナイフで盛大かつ丁寧に処刑するそうだから、サンドイッチを持って見物に行くつもりだ。帰りの晩には女神様になって、ミケナが塞ぎがちなハンスを慰めてこわばった気持ちをほぐしてやり、私はレト君に人生初めての特別体験をプレゼントしてあげる予定でいる。
まさか、その日のうちに「三人目」が現れるとは思ってもみなかった。
しかも知っている女性。
森林エルフの女魔法使い、ミケナ・フロラ先生は、幼き日に最初の魔法の授業をしてくれた麗しいお姿で、教え子の私の様子を見に来てくれたのだった。即座に異変を察したらしく、事情を知るにつけて「大人向けの特別教育」。
「あんな小さな女の子だったのに、すっかり女になっちゃって。めっちゃ色気出てる」
外見年齢が近くなったこともあって、同年代の年上の先輩な友人みたいに話しやすい。
その晩、宿泊中のレンタル小屋に招かれて「禁忌の花園」に入門してしまった。普通は同性は論外のはずなのだが、歓喜の汗と涙とお潮吹きして、穢れと毒が流れ出していくようだった。植物性の特別なアレは粗雑な男どもより百倍も快楽で、本当は苦痛でなく「こんなに良いもの」なのだと思い知らされた(次はレト君とハンスお兄ちゃんだよ)。
エルフの女魔法使い、おそるべし。
2
その週に(魔族に)「忠勤に励む者」たちが報復と称して、「粗悪なゾンビ軍団」を町に送り込んできたのだけれど、タイミングが悪かった。
しかもゾンビと言いながら、実際にはヤク中の犯罪者たちに筋肉増強剤を投与しただけの暴徒。
レト君が「犬魔法」でオーラの子犬を形成し、鷹を放つがごとくに投げつけて、顔に張りついたり抱きとめると「和んでしまって戦意喪失」。レト君は優しいので、そいつらを物置小屋に投げ込んだり、鞘のままの剣の平で叩いてぶちこんだ。鎖やロープで厳重に縛って封鎖、ひとまず一件落着のはずだったのだけれど。
あいにくミケナ・フロラ先生が居合わせた。
それこそ彼らにとって致命的に来襲した時期のタイミングが不運だった。
「アネットちゃん、灯油はある?」
「あいよっ!」
以心伝心の意気投合で、私はノリノリで灯油缶をとってきて、二人で捕虜ゾンビの勾留小屋に撒く。確実に全員を爆死や焼死させるための魔法石(爆発・燃焼性の黒曜石)の設置も忘れるな!
「な、何をやっているんですか? ちょ、ちょっと待ってくださいよっ!」
慌てたレト君が私を羽交い締めして制止しようとして、後ろから抱きつかれておっぱい掴まれて「やんっ」と悶えてしまった。
私が頬赤らめて照れ微笑んで「レト君のえっち!」などと言っている間にも、ミケナ・フロラは鼻歌しながら容赦なく灯油をかけて、逃げられないように高圧燃焼の植物薬品まで仕掛けている。
「み、ミケナさんっ! あなたという人は、前にも戦意喪失している敵に火炎魔法してましたよね?」
「だってぇ。こういう人たちに無用の情けをかけてもしょーがないしぃ」
わざとらしい舌っ足らずな甘えた口調で空とぼけて、問答無用で発破するミケナ・フロラ。火炎の柱が空に立ち上った。
「ほおら。彼らの魂は救われたわ」
私たち(ミケナと私)は満面に笑みで拍手する。
駆けつけたハンスは呆然と虚脱して、レト君は諦めたようにため息で頭を振っていた。
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それから、ミケナのレンタル小屋で魔法石や魔法薬をまとめて製造した。
私の魔法石は使用期限が一ヶ月くらいだが、ミケナが重ねて魔法をかければ一年近く日持ちするようになる。これを地雷のように、町の外部の荒野などに設置して、アホな魔族に自動攻撃するトラップとして仕掛ける。
ミケナが作った魔法薬(私も手伝った)は、人畜無害だけれども、魔族が触れると強度のアレルギー反応するえげつない代物なのだ。これを町のあちこちに害虫殺しのように仕掛けておいて、間抜けな魔族が引っかかるようにする。もちろん軍や警察の武器に塗って使う分も製造して、格安ながらに悪くない儲けにもなる。
「これで死地だわねえ。魔族がこのあたりに迷い込んだら地獄を見るわあ」
「何匹くらい引っかかるでしょう? 恐れて近寄らなくなるまで、思い知らせないとですよねえ」
ミケナ・フロラの企み秘めたる陰険で邪悪なまでの笑顔は、ほとんど魔族の女とどちらが魔女だかわからないくらいの風格だった。それを手伝って一緒にやっている私だって魔女みたいなものだろうよ。
レト君とハンスが食事や衣類を持って差し入れに着てくれるのだが、そういうときに限って私たちが水浴びや着替えしている。わざときわどい肌着姿で出てからかったり、仕舞いには私たちの夜の行為を見せつけてやった(ミケナが魔法で足止めして目を閉じられないようにして)。
もはや私たちは魔女みたいなものだ。
明日はドワーフの女軍曹が、捕獲した魔族を拳とナイフで盛大かつ丁寧に処刑するそうだから、サンドイッチを持って見物に行くつもりだ。帰りの晩には女神様になって、ミケナが塞ぎがちなハンスを慰めてこわばった気持ちをほぐしてやり、私はレト君に人生初めての特別体験をプレゼントしてあげる予定でいる。