どーる
アタシやっぱ壊れているのかも知れない。アバレル経営のメルセデスが贈る今期ものの洋服が山ほどあるのに何も着る気がしない。メルセデスの誰もいない青山のオフィスで売り出す前の洋服や靴を夢中で試着するくせに、部屋に持ってきた途端 手にもしなくなる。白いTシャツとデニムがあれば世界中どこででも生きて行けるから。メルセデスは洋服を着てはしゃぐアタシを見るのが好きなの。アタシは高揚しているメルセデスがネクタイを緩める姿が好きなの。それだけの関係。それだけの二人。それだけの瞬間。
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