🕊 平和への願い 🕊 ~新編集版~ 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて
 ……いや、そんなことはない。あの日はおかしかった。
 元気がなさそうだったし、笑い方が変だった。
 買い物から帰った時は元に戻っていたのでそれ以上気にすることはなかったが、明らかにおかしかった。

 しかし、だからといってそれがこのメモに繋がるとは思えなかった。
 といって、他に原因があるとも考えにくい。
 喧嘩をしたこともないし、トラブルに巻き込まれたこともない。
 平凡だけど平和な毎日が続いていたのだ。
 唯一の気がかりはロシアによるウクライナ侵攻だったが、それが家を出て行くほどの理由とは思えなかった。

 う~ん、わからない。何もわからない。
 ただ、どういう理由であれ、どういう事情だとしても、ロシアに帰ること以外にはあり得ないだろう。
 だとすれば、もう既に飛行機に乗っているだろうか?
 わからない。
 もしかしたら羽田か成田で搭乗待ちの可能性もある。
 しかし、モスクワへの直行便は運航停止になっているはずだ。
 とすると、トルコ経由か? 
 そうだ、そうに違いない。

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